ラプターは、ラボでの測定機器としても、また現場で使用可能なポータブル測定機としても利用できるよう設計されています。両用途のユーザーにとって利便性を高めるため、数多くのハードウェア改良が施されています。
本機には、5Ahリチウム(LiFePO₄)ディープサイクル充電式バッテリーを内蔵しており、軽量性を維持しながら5時間の連続動作が可能です。バッテリーチャージャーは標準で付属しており、ご要望に応じてより大容量のバッテリーに変更搭載することも可能です。
操作インターフェースには、タッチスクリーン対応のMicrosoft Surface ProタブレットPCを採用しています。タブレットPC自体にも内蔵バッテリーを備えており、さらにラプター本体のLiFePO₄バッテリーからも充電されます。最新バージョンのMicrosoft Windowsを採用することで、ユーザーが日常業務で使用される各種アプリケーションとの高い互換性を確保しています。
筐体には、軽量で持ち運びに適した堅牢なケースを採用しており、総重量は約10kgです。現場での取り扱いや移動にも配慮した設計となっています。また、本製品には特許出願中の機能が搭載されています。
測定セルは、デッドボリュームを最小限に抑えた着脱式/使い捨てタイプで、同一装着深さの予備セルとの交換が可能なほか、オプションにて異なる光路(パス)深度を有するセルへの交換にも対応しています。さらに、新たに追加されたハードウェア機構により、測定セルは常に正確な位置に装着でき、安定した焦点位置が確実に維持される構造となっています。
柔軟な測定方法(液体/スラリー試料)
内蔵ポンプシステム
標準ルアー継手を使用して2本のチューブをサンプルボトルに接続するだけで、ソフトウェアが内蔵ポンプを制御しサンプルボトルを循環分析することにより、統計的精度が確保されます。また、次サンプルの洗浄・すすぎ、サンプル懸濁液容器や装置とのオンライン測定など、あらゆる外部サンプリングソースに接続できます。
使い捨てシリンジ
サンプル量が極めて少ない場合(最低1mL〜)や汚染が懸念される場合、2本のシリンジを使用することで、内蔵ポンプを使用せずサンプルを手動で循環させながらサンプル分析を行うことができます。これにより、滅菌済みで汚染のないシリンジで分析でき、分析後のサンプルも保存することができます。
着脱式/交換可能な測定用フローセルについて
ラプターは、液体サンプル(原料液、溶液、オイル、懸濁液、泥、スラリーなど)や乾燥粉体サンプルをflow cellという測定セル内を流すことで撮像・計測を行います。このフローセルは簡単に取り外すことができ、洗浄、交換可能な構造になっています。
サンプル毎に交換できる
フローセル自体を着脱可能/交換可能なモジュール化されたユニットとして設計採用したことにより、サンプル/分析毎にユーザーの判断でフローセルを交換できるため、交差汚染や残留物の影響を防ぎ精度の高い測定が実現しました。
デッドスペースが小さい設計
フローセルの流路部分は デッドスペース(測定されない無駄なスペース)が最小化された構造になっており、少量サンプルでも効率的に計測できます。希少なサンプルや前処理量が限られる試料においても、信頼性の高い粒子解析を実現しました。
用途に応じて交換可能
サンプル種別・測定粒径レンジ・濃度条件に合わせてフローセルタイプを切り替えられます。
この柔軟性により、例えば粗大粒子用・微粒子用、濃厚懸濁液用など、用途に最適化したフローセルの選択でより精度の高い測定が可能です。
交換が簡単
フローセルは、ユーザー自身が容易に着脱できる構造となっており、交換作業にあたって特別な工具や専門的な作業を必要としません。作業者の負担を軽減するとともに、操作ミスのリスク低減にも寄与し、測定の再現性や信頼性の向上にもつながります。
メンテナンス性と衛生面の向上
洗浄できない汚れたフローセルはそのまま交換・廃棄し、新しいセルを使用して直ちに次の測定を開始できるため、メンテナンス性および衛生面の向上に寄与し、作業者の負担を軽減するとともに、操作ミスのリスク低減し測定の再現性や信頼性の向上にもつながります。
なぜこの方式が重要か
一般に粒子動的画像解析装置では、サンプル流路内の残留物・沈殿物が次の測定に影響することが課題です。ラプターの着脱式フローセル設計は、この課題に対しての実用的な解決策として、汚染リスク低減・効率化・サンプル交換の簡便性向上に大きく寄与しています。
乾燥粉末用粒子 測定キット
ポータブル型粒子測定機ラプターは、ラボでも現場でも使用可能な動的画像解析を採用したポータブル粒子サイズ・形状解析装置に、乾式粉末測定用のモージュールを追加したものです。これにより、液体試料だけでなく 乾燥粉末や顆粒サンプルの粒子特性解析が可能となります。
粉末用粒子測定キットを装着することで、乾燥状態の粉末や顆粒の粒子サイズ・形状・濃度などの複合データを高精度に測定できます。従来の液体サンプル中心の測定から一歩進んだ、乾式測定用途の粒子解析を可能にします。
粉末用粒子測定キットにより乾式サンプルの循環・再現性の高い画像撮影が可能になりました。従来の一次通過方式(シングルパス)ではサンプルの代表性が得にくいという課題がありましたが、循環流路によりサンプル全体を均一に取得・測定でき、弱い空気圧での動作 により粉末が破損しにくく、サンプルが少量でも代表性のあるデータ取得でき、閉循環設計で測定環境からの外乱影響を低減しました。
◾️粉体材料のサイズ・形状特性と挙動解析
◾️乾燥粉末の粒度分布や形状のデータモニタリング
◾️成形性や流動性が粒子特性に影響する粉体製造評価
◾️ラボに持ち帰ることなく、現場で測定判断が可能
粉末用粒子測定キットは、乾式粉体を空気流で穏やかに分散させ、密閉された循環流路内で繰り返し撮影・解析することを目的として設計されています。従来の一方向通過型(シングルパス)乾式測定で問題となりやすい、サンプル代表性の不足、粉体破砕・形状変化、凝集体の過剰解砕などの課題を回避するための構造となっております。
密閉された循環構造は、1]サンプル供給部、2]分散・搬送用エアフロー生成部、3]測定用光学セル、4]リターン流路(再循環)の順で、粉体は外部へ排出されず、同一サンプルが循環しながら何度も測定ゾーンを通過することとなります。
エア分散方式の特徴は、使用する空気流は 低圧・低せん断で、ベンチュリや高圧ノズルによる強制分散ではありません。粉体を「吹き飛ばす」のではなく、浮遊・搬送させるイメージです。この搬送方法により、脆弱な造粒品・結晶性粉末・繊維状・針状粒子でも、本来の形状を保持したまま測定が可能となりました。
循環流路の一部に、粉体用の光学測定セルが配置されています。粉体は、低圧・低せん断のエア分散方式により、単粒子状態でセル内を通過でき、高速カメラとバックライト照明により移動中の粒子を効率よく連続撮影します。このプロセス工程で、DIA-動的画像解析が効果的に実行処理されることとなります。
循環構造により、同一サンプルから十分な粒子数(統計母集団)を確保することで、一度の通過で捉えきれない粗粒・微粒・異形粒子も繰り返し捕捉でき、粒子の向きが変わることで形状パラメータのバイアスも低減することとなります。結果として、少量サンプルでも代表性の高い粒子サイズ・形状分布を得ることができます。
従来乾式測定との技術的比較
| 項目 |
|---|
| 従来乾式(シングルパス) |
|---|
| ラプター・乾燥粉末用 粒子測定キット |
|---|
| 流路 |
|---|
| 開放系 |
|---|
| 密閉循環系 |
|---|
| エア分散 |
|---|
| 高圧・高せん断 |
|---|
| 低圧・低せん断 |
|---|
| 粉体破損 |
|---|
| 起こりやすい |
|---|
| 起こりにくい |
|---|
| サンプル代表性 |
|---|
| サンプルに依存 |
|---|
| 高い |
|---|
| 少量試料 |
|---|
| 不利 |
|---|
| 有利 |
|---|
| 形状保持 |
|---|
| 難しい |
|---|
| 良好 |
|---|
循環乾式測定により、下記記載の形状・サイズ情報において高い信頼性で情報取得できます。特に、粉体流動性・造粒状態・破砕評価においてアドバンテージとなります。
・等価径(Area径 / Feret径) ・アスペクト比 ・円形度/形状係数 ・粗大粒子/異形粒子の検出 ・粒子数ベース濃度
粉末用粒子測定キットは、[低せん断循環流路+動的画像解析+密封循環流路設計]を組み合わせることで、「乾式でありながら、湿式に近い代表性と形状保持性を実現した粒子解析方式」と言えます。
これまでレーザー回折や従来乾式画像解析では困難だった “粉体本来の姿を捉える測定” を可能にした点が、最大の技術的優位性となります。
仕様
ラインナップ
高倍率モデル 0.5-90μm、標準倍率モデル 1-300μm
低倍率モデル 10-800μm、超低倍率モデル 20-2500μm
オプション
乾燥粉末用 粒子測定キット
寸法・重量
36(D) x 46(W) x 18(H)cm, 10kg
バッテリー
5Ahリチウムイオン(LiFePO₄)連続使用時間4-5時間
充電電源
AC100-240V (50/60Hz)
稼働温度
10〜45℃
冷却機能
サーマルスイッチ制御による自動冷却ファン内蔵(温度超過時)
保管温度
-10〜55℃
タブレットPC
最新Windows OSを搭載したSurface Pro9または同等製品
タブレットPCはラプターの蓋内側に内蔵されています。内蔵バッテリーまたは外部電源で電源供給・充電。HDMI、ネットワーク、USBなどの外部接続端子はラプターの右側面に配置されています。
主な解析ツール・機能
相関プロット
複数の形状/サイズパラメータ同士の関係性を可視化します。
異常値/外れ値や特異な傾向を検出するのに有効です。
分布プロット
粒子サイズ・形状パラメータの分布をヒストグラムや累積分布などで表示します。
粒子サイズや形状の全体傾向を視覚的に把握できます。
分類ツール
粒子の形状やその他パラメータに基づいて 条件毎に粒子を分類します。
異物、繊維、破片、凝集体など、用途に応じた粒子カテゴリ分けが可能です。
合否判定機能
製造許容範囲に基づく合否判定を自動的に行います。
QC(品質管理)用途での判定を簡便化します。
粒子濃度
測定サンプル中の粒子濃度(個数/体積比など)を算出・表示します。
濃度情報はプロセス管理やクリーニング評価に有用です。
サムネイル画像
測定時に取り込んだ粒子の個別サムネイル画像の一覧表示が可能です。
目的の粒子を視覚的に確認しながら解析できます。
データオーバーレイ比較
複数のサンプル/バッチデータを 重ねて比較表示できます。
サンプル間の違いや変動傾向を視覚的に把握できます。
ふるい測定との相関
旧来のふるい測定データと相関づけて 測定比較レポートを出力できます。
リアルタイム結果表示
測定結果を数分以内に表示し、即時判断/意思決定を支援します。
全原画像データ保存
撮影した全ての原画像を保存が可能で、再解析・詳細検証用途に活用できます。
ASTM/ISO/NAVAIR
粒子計数結果は、オイル清浄度規格に対応したコード形式で出力できます。
iPhoneアプリ(iOS)
測定中データを リモートでリアルタイム確認できます。(英語のみ)